CROSS TALK ラガーマンの活躍の場
小林 廉 | 同志社大学 | 
2018年卒 グリー株式会社入社
中石 匡彦 | グリー株式会社 | 
人事本部 人材開発部 マネージャー

チームを引っ張り上げる人材は、
チームプレーのスペシャリストの中にいる。

ラグビー一筋に学生生活を送り、エンジニアやデザイナーのような特定の技術的スキルを持たないラグビー部員の皆さんにとって、IT業界はある意味で遠い存在かもしれません。しかし2018年、一人のラガーマンが日本の大手インターネット企業、グリー株式会社から内定を獲得し、就職をしました。
なぜラグビー部員の採用を考え、どのように選考が進んだのか。そしてそこから見えたラグビー部員の強みや社会における可能性とはなにか。同社の人事責任者である中石匡彦さん(写真右)と、内定を決めた同志社大学の小林廉さん(写真左)にお話を伺いました。

彼が“いいやつ”であることは出会って5分でわかりました。
あとは、ラグビーで培った力が転用可能か見極めたかった。

まず中石さんにお聞きします。今回なぜ、ラグビー部の学生の採用を考えたのでしょうか?

中石:端的に言うと、”いいやつ”が欲しかったからですね。

“いいやつ”ですか。

中石:いま弊社の採用において特に注力していることがあります。それは、新卒を中心にして、世代間の絆を作って会社のコアになる部分を広めていく存在を採用すること。いいチームを作りたい、凹んでるやつを元気付けたい、明るいチームでなければ嫌だ、嫌だから自分から何か仕掛けるみたいな、”いいやつ”が必要であると感じていました。
そして、その”いいやつ”がどこにいるかということになった時、以前からラガキャリ事業責任者の香水さんにラグビー部の学生のことをお聞きしていたこともあり、「one for all, all for one.」というものを掲げているラグビーをやっている人たちの中には絶対にいるだろうと考えたんです。

なるほど。確かに、技術的に優秀な方も非常に重要なんですが、彼らがチームをまとめたり人を引っ張ったりするようなポジションになりたいかというと、そうでもなかったりしますからね。
一方で小林くんは、大学のコーチからの紹介でラガキャリを知ったとのことでした。その前はどのような就活をされていたんでしょうか?

小林:就職発動を始めた頃は、地元の九州に帰って母と同じテレビ業界に入れればと考えていました。基本的にはアドバイスもなく、いつから就活が始まったかもわからず、ダラーっと初めてしまって、正直失敗したなと思いましたね。香水さんと出会うまでは、なんとなく就活をしていたという感じです。

具体的にはなぜ失敗したと思いますか?

小林:まず1つは練習をしてなかったこと。事前の準備と情報収集がうまくできてませんでした。
もう1つは、自分の行きたい会社だけに集中してしまい、その周りの業界を見ていなかったことです。志望した会社を1つひとつ、受けてみてダメだったら次、という感じでバツバツと終わらせていったので、いま思えばもっと受ける範囲を広げれば良かったです。

自分で動いている中であまり良い結果が出ず、そんな時にグリーの話がきたと。そこから選考はどのように進んでいったのでしょうか?

中石:まず初めて会った瞬間に、なぜこの子はこんなにキラキラしてるんだろうと思いました(笑)。基本的は挨拶などをはじめとして、基本的な人間力を身につけていることを感じましたし、ラグビーに関わる中で、あるいはいろんな場面で良い大人に囲まれて育ったんだろうなと感じましたね。でなければこんなにキラキラした目はしてないよねと。それが、出会って開始5分の印象です(笑)。

なるほど、そこから選考はスムーズに進んだのですか?

小林:いえ、面接は全部で10回近くありましたよね。一番記憶にあるのは、ラグビー部の合宿で北海道北見市に行ってる時です。明日なんだけど東京に来れますかと電話が来まして(笑)。結局面接へは行ったんですが、僕もその時は完全にラグビーモードに入ってて、そんな最中で電話が来たのでパニックになってしまって、何が何だかわからず香水さんに大丈夫ですかねと電話したのを覚えてます。もうその時は本当に助けてくださいっていう気持ちでした……。

僕も覚えてますよ。選考がどこまで続くのかみたいなところもあって不安になったんでしょうね。ただ、見込みのない学生をを何度も呼び出さないということだけ伝えたのは覚えてます。選考が長いことに対して心が折れそうなんだとしても、それを僕が言葉巧みに誘導するのもどうかと思うので。今の若い人だと、今回のような場合にもういいですと諦めてしまう人もいるんですが、それを小林くんはそうせずに、自分の意志で行動で示したというのはひとつの魅力なのかなと思います。

中石:そうですね、彼は学生時代に一般的な学生がするOB訪問やインターンを行なっていなかった分、その確認を短期間でしなければいけなかったので、彼には相当な負荷をかけたとは思います。
彼との場合も含めて、僕が一般の学生さんと面接をする時に大事にしている要素が3つあります。1つ目は能力。言語能力など、自分の頭の中にあるものを伝える力。ビジネスだと相手をその気にさせたり、それを支える論理思考などは重要です。2つ目はエンジンのデカさ。目標設定のセンスや、それを早く達成するための行動など、何かを達成しきることに対するパワーです。そしてもう1つ、3つ目に何を見ているかというと、さっきお話しした通り、人の良さというか、チームのためのアクションができるかどうか。
その3つを前提として、小林くんと出会った時にまず3つ目の人の良さは間違いないだろうなということは感じました。その上で何をもっと知りたかったかというと、1つ目と2つ目の、ビジネスに関する能力とそれを実行してやりきるパワーです。やりきるパワーに関しては、彼は九州のラグビートップレベルの高校でやってましたし、通っていた同志社大学も日本でのトップレベルなので、でかい目標を掲げてそれを実行できることはわかりましたが、彼は良くも悪くもラグビーしか知りません。ラグビーを通して発揮してきた能力が、ほかの領域に転用可能なのかということを見極めたいと思いました。ビジネスパーソンとしての目標設定や、いろんな壁にぶち当たったときに同じような向き合い方をできるのかということを見たかった。そして、課題にぶつかった時にどう対応するかということは能力の高さにも紐づくので、それを確認したかったのです。彼はビジネスパーソンとしては生まれたての子鹿の赤ちゃんのような状態だったので、本当に立ち上がれるのか、歩けるのか、走れるのかということをいろんなケーススタディをしながら1つひとつ確認していったという感じですね。

それだけ選考を重ねたということは、彼はその期待したことに答えてくれたということでしょうか?

中石:向き合い方としては100点だったと思いますね。さっきの北海道の合宿の話ではないではないですが、その行動力なんかも。だって短パンのままで来たもんね。

小林:そうですね(笑)。合宿の途中と合宿終わりにも面接があって、その時はトランクを持って、パンパンの荷物を持って、万が一何かあった時のために持ってたTシャツと、空港でパツパツのチノパンだけ買って六本木に行きました。

中石:彼が本気でラグビーをやっていることは知っていたので、その中で少ない時間を割いてきていることや、自分の時間だけでは無理だということでマネージャーやキャプテンに自己分析を手伝ってもらったり、僕が言ったこと、あるいは仲間の言ったことに真摯に向き合っていたことは素晴らしかったと思います。

なかなか人巻き込みながらそのようなことをやるのは難しいですよね。

中石:選考中に、あなたは自分のことをわかってないので、自分のことを周りの人に聞いてきてくださいと言ったんです。それもニュアンスとしては聞いてみたら?くらいだったので、やるかやらないかは自分次第だったのですが、そしたら次の日くらいに本当にやったので、すごいなと思いました。

小林:本当にいろんな人に手伝ってもらいましたね。

そこで他の人にお願いして手伝ってもらえるというのも、普段の小林くんの人柄のためなんでしょうね。そういうところをひっくるめて3つ目の人の良さは100点だったんじゃないかということですね。

高校時代のラグビーが、
自分の中のリーダー像を確立してくれました。

小林さんはラグビー歴はどれくらいですか?

小林:小学3年生からなので、全部で14年弱です。

ラグビーを続ける中で、身についた力はなんでしょう?

小林:一番は自己犠牲ですね。仲間に対して尽くそう、体を張ろうということは学びました。なので、自分のためではなく、人のために何かをする方がモチベーションは高いです。香水さんがこれだけ身を削ってサポートしてくれているのだから、そこに答えなければという責任感だったりは感じてました。

そうなんですね。ちなみにラグビーでのポジションは?

小林:フランカーでした。全く花形ではなかったですね。トライとかほとんどしてないです。小中学校はいろいろなポジションをやらされてどういうプレイをすればいいかわからなかったのですが、高校の時の恩師に、こうやってラグビーをすればいいんだということを教えてもらいました。お前はこうだから他のことやるなという感じで。それによって自分の仕事がわかったので、心地よかったです。なので一番自分らしくラグビーができたのは高校だったと思います。

中石:それはどういうラグビーをしろって言われたの?

小林:もうお前はボール持つなと言われましたね。初めはマジかと思って(笑)。ラグビーを始めた頃はトライして目立つことが夢だったんですが、その恩師には、お前に花形はいらない、お前はとにかくタックルをしろと。そしてそれを周りに見せてみんなを引っ張れと、副キャプテンをやらされました。
先ほど中石さんがお話しされてた周りの人に自分のことを聞いてきてくださいという話で、その恩師にもなぜ自分を副キャプテンに選んだのかということを聞いたんです。そしたら、お前は自分の考えてることを言葉にして引っ張る力はないから、背中で引っ張るような役割として副キャプテンにしたとおっしゃってました。確かにその通りで、僕はあまり言葉で説明することが得意ではなくて、「これはこうやるんだよ!」みたいな抽象的な表現しかできなかったんです。その時のキャプテンは人を言葉で鼓舞することができたので、言葉で引っ張る役割は彼に任せて、僕はとにかく自分でやってることを見せて人を引っ張る役割を任されたということでした。
これから社会人になりますが、その行動で示すという自分の強みは無くさないようにしたいです。そして、それに合わせて言葉でも引っ張れる社会人になりたいですね。

まず突っ込んで行動する、そして背中で見せる、それは簡単には真似できないことだと思います。言葉でいうのは簡単なんですが、背中で語るというのは自分がそれをやっているところを見せなければいけない。その人間が、さらに情報収集や漏れのない準備をできる人になれば、すごい人になれると思います。リーダーシップの素質はすごいものを持ってるんでしょうね。

リーダーシップ、小さなことへの気づきや礼儀、
彼らにとって当たり前の人間力は、
他の学生から抜き出ていると思います。

ここまで小林くんのパーソナルな部分を聞いてきましたが、中石さんからみて、一般の就活サービスと比べて、小林くんを含めラグビー部の学生たちにはどのような違いを感じますか?

中石:まず前提として、一般の就活サイトを利用してくる学生さんたちと期待してるものは明確に違います。例えばもっと技術的な能力に尖った学生を採用したければ、それに対応したサービスを探すでしょう。今回香水さんにお声がけしたのは、小林くんのようなリーダーシップが取れる人を採用し、マネージャーやリーダーといった事業を引っ張っていく存在を増やしたいと考えたからです。そして、そのような人たちのニーズは普遍的にこれからも存在するものだと思うので、ラグビー部の学生たちにはそこを期待しています。

それこそリーダーシップというのは人工知能に変えられない職能の1つですからね。本質的な人間力というのは。

中石:圧倒的な強みですよね。自分だけではできないことを、チームで人を巻き込みながら価値を出していく。それこそが会社に属している、みんなでやることの意味でもあると思うので。

今回中石さんには数人のラガーマンを紹介したのですが、彼らを見る中でその期待したことは感じられましたか?

中石:そうですね。やはりコミットメントの力が全然違うなというのは一番に感じました。採用活動をしていると、言い方は悪いですが、頭が良くて口が達者な方も結構受けに来てくれるのですが、それをやりきれるのかなと感じてしまう人も多くて。

確かに口が達者な人は、できなかった時の言い訳のスキルも高いですからね。

中石:もちろん、それは社会人スキルの1つとしては重要なんですが、僕はあまり好きではない。やはりコミットメントの高さを持って、決めたことをやりきるという行動力というのは、その集団における人達が頭一つ抜き出てると思います。
あとは具体的な行動としてもいくつかあります。これは小林くんとの関わりの中で感じたことを話すとわかりやすいかと思うんですが、去年の末に内定者研修会や懇親会があり、同期が集まる場面がありました。すごく覚えているのが、その時にチームビルディングを目的とした、体を使ったワークショップをした時のことです。自然とみんなに働きかけて、自然と馴染むんですよね。みんな恥ずかしがったり、特にこれは偏見持ってるわけではないですが、文化系の子なんかは特に一歩踏み出ないことか多い中で、彼はすっと入っていける。チームを作らないといけない時に、すぐできる。そして、チームの中にうまく入っていくことができない人に対して、自分から働きかけることができる。面接などを通して、なんとなくチームプレーをやってる人たちはこういうことはできるだろうなと思ってはいましたが、実際に目の当たりにして、とてもいいところだなと改めて感じました。
もう1つは、懇親会や研修で見られたんですが、椅子を片付けるとかゴミを拾うといった、指示されてもいない、小さくて細かい仕事をちゃんとやること。やらない人もいるじゃないですか。でも彼はやるんです。

そもそも気づかない人もいますもんね。それって僕たちがやることなんですかと。

中石:そうなんです。それができるということは素晴らしいなと思っていて。社会に出た時にすぐに望んでた仕事をできる人なんていません。僕もそうでしたが、はじめは泥臭い、細かい仕事をこなしていくことも必要です。そういう時に、それを遂行できるか、腐らずにできるかというところで、人間の真価が問われるんだろうなと。そして、彼はそういうことを難なく越えて行くんだろうなと感じました。そしてそれは彼を含めラグビー経験者全般に言えるんじゃないかと思いますね。

それは小林くんの中で意識してましたか?

小林:いや、ほとんど意識してないですね。ラグビーをやってる中ではそれが当たり前だったので。

中石:たぶんそれって、レクチャーしてもできないんですよね。誰かがやるんじゃないですかって思ってしまうこともありますし。
あとは単純なことですが、人に対する礼儀も1つ抜けてるなと思います。彼の場合だとラグビーの部活が全て終わりましたということを電話してくれたり。ビジネスのシーンでもホウレンソウがちゃんとできるかって大事じゃないですか。そういうところは人としてリスペクトできるところです。スポーツやってる学生全般に言えることではありますが、ラグビー経験者には特にそれらを感じますね。

今の環境から外に出て、自分の強みを認識してください。
それがきっと社会とつながる自信になる。

最後になりますが、現役のラガーマンに向けて一言ずつお願いします。まず小林さん、大学までずっとラグビーをやってきて、同じような境遇の後輩がいると思います。

小林:今まで培ってきたものは、他の学生からするとすごい価値なので、それを一度振り返ってから就活をしてみてください。見えてなかっただけで、いいものはたくさんあって、自分に自信を持ってもらいたいです。

なんでみんなそれに気づけないんですかね?

小林:たぶん自分がやってきたことや強みというものをフィーリングでしか理解していないんですよね。なのでそれを言語化できる人と接することが必要です。同級生に聞いても言葉する力がない人が多いので、社会人の方とどんどん話す機会を増やせば、自分の強みや違いが見えて、それが自信になると思います。

ありがとうございます。中石さんはいかがでしょうか。

中石:ラグビーをやってきたこと、培ってきたものは間違いなく武器であり、社会の中における非常に高い価値なので、それを認識してください。先ほどの小林くんの話にもありましたが、それは今いる集団の中では認識できないことです。今いる場所から外に出ましょう。そして、認識したらそれは自分の自信につながります。その自信をベースにして、自分の培ってきたものだったり、何にハマったか、何に熱中したかを考え、ビジネスの世界とどう接続するのかを、ラグビーを軸に考えていって欲しいです。ラグビーと社会は切り分けられたものではなくて、きっと接続しうるものなので、そこは頑張って自分の力で見つけて欲しいと思います。
そして、その考えた先にインターネットだったり、グリーという会社があるのであれば、その時はぜひ小林くんに連絡ください!(笑)

ラグビーをやりながら社会につながる機会というのものは実際ほとんどなくて、就活はそれを無理やりにでも実現できる機会だと思うんです。なので学生さんには、就活というものが卒業前に点で存在しているのではなく、これまでやってきたこと、そしてこれから社会に出てからのことが、太い帯で繋がっていて、その中の就活なんだということに、このサービスを通して気づいてもらいたいですね。